研究課題
○血管局所におけるToll-like受容体(TLRs)発現が動脈硬化病変の発症、進展に及ぼす影響の検討:【方法】17年度において、ヒトTLRs(TLR2,TLR4)の家兎頸動脈血管壁への導入は、それぞれの受容体遺伝子単独導入では有意な内膜肥厚をもたらさないが、両者をともに導入することで著明な動脈硬化病変が認められることを示した。今年度はこのTLR2とTLR4の相乗的動脈硬化促進の機序をさらに明らかにするため、家兎にLPSを静脈内投与した後、血管を摘出し、血管壁における転写因子NF-kBの発現をEMSA法にて解析した。さらにラットの培養平滑筋細胞において、pGL3pro plasmidを用いNF-kBのluciferase reporter assayを行った。【結果および考察】家兎頚動脈におけるNF-kBの活性化はTLR2とTLR4により相乗的に亢進し、さらにin vitroのluciferase assayにおいてもTLR2とTLR4の両者の遺伝子導入によりNF-kBの活性化が相乗的に亢進することが判明した。本研究により、血管局所、特に血管細胞におけるTLR2とTLR4の両者の発現により、動脈硬化が相乗的に増強されること、その機序として、両受容体のシグナル伝達のクロストークにより、転写因子NF-kBの相乗的活性化が生じ、その結果接着因子をはじめとした種々の動脈硬化関連遺伝子の発現が増強することが示唆された。○急性冠症候群における末梢血液単球表面におけるTLRs発現の意義:【方法】急性冠症候群をはじめとした冠動脈疾患患者の末梢血液単球表面におけるTLRs発現をflow cytometry法で解析した。【結果および考察】急性冠症候群患者では単球表面のTLR4発現が増加しており、それは高感度CRP値と独立していることが判明した。
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