研究課題/領域番号 |
17590740
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・歯学部・附属病院, 助手 (90271080)
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研究分担者 |
東 博之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (10241275)
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, COE研究員 (70372711)
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キーワード | BMK1 / ERK5 / 血管内皮機能 / スタチン / PPARγ / 炎症 / VCAM-1 / 多面的作用 / 動脈硬化 |
研究概要 |
我々はGal4-DNA結合ドメインとBMK1/ERK5との融合蛋白を発現するベクターを作成し、dual-luciferase reporter gene assayを用いてBMK1/ERK5の活性を定量的に測定できるシステムを開発した。このシステムを用いて培養血管内皮細胞でのBMK1/ERK活性に及ぼす各種薬剤の影響を検討した結果、スタチン系薬剤であるpitavastatinが濃度依存性にBMK1/ERK5を著明に活性化することを見出した。このようなpitavastatinの効果はFPPの添加によっては抑制されず、GGPPの添加によってほとんど抑制されることから、RhoA抑制と同様のスタチンの多面的作用によるものと考えられる。炎症性サイトカインであるTNFαの添加はNFκBの転写活性と接着分子であるVCAM-1の発現を著明に充進させたが、pitavastatinはこれを抑制した。このような作用はBMK1/ERK5を活性化する上流のkinaseであるMEK5αのsplice variantでMEK5αに対してdominant-negativeとして作用するMEK5βの遺伝子導入によりほぼ完全に消失した。また、pitavastatinはPPARγ1の転写活性を濃度依存性に亢進した。我々はすでにBMK1/ERK5がPPARγ1と結合することでその転写活性を亢進させることを報告していることから、pitavastatinはBMK1/ERK5を活性化し、PPARγ1の転写活性を亢進することでNFκBの転写活性を抑制し、VCAM-1の発現を抑制していると考えられた。スタチンはコレステロール低下作用のみならず血管内皮機能の改善効果を有し抗動脈硬化作用を発揮するとされていることから、BMK1/ERK5は血管内皮機能、特に抗炎症機能の発現制御に重要な役割を果たしていると考えられる。
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