研究課題
トロンビンは内皮依存性血管弛緩反応を引き起こす。この弛緩作用にはプロテイナーゼ活性化型受容体(PAR)の1型と4型が関与する。PAR-1活性化に引き続く、細胞内シグナル伝達は詳しく研究されているのに対し、PAR-4の活性化に続くシグナル伝達については未だ不明な点が多い。シグナル伝達に関与するGタンパク質についての情報も限られている。本研究では、培養ウシ大動脈内皮細胞を用いて、ジアミノローダミン-4MおよびFura-2蛍光測定を行い、それぞれ、内皮細胞のNO産生と細胞質Ca^<2+>濃度変化を評価した。トロンビンおよびPAR-4活性化ペプチド(AYPGKF-NH_2)で細胞を刺激すると、細胞質Ca^<2+>濃度上昇を伴わずに、NOが産生された。このNO産生は、百日咳毒素処理によりほぼ半減したが、Ca^<2+>キレート剤BAPTAを細胞内に負荷しても影響を受けなかった。一方、Ca^<2+>イオノフォアであるイオノマイシンで内皮細胞を刺激すると、細胞質Ca^<2+>濃度上昇を伴い、NO産生が認められた。このNO産生は、BAPTAの負荷により消失したが、百日咳毒素に対しては抵抗性であった。本研究より、PAR-4の活性化は、細胞内カルシウムシグナルにはほとんど依存せずにNO産生を引き起こし、このNO産生のGi/oタンパク質が関与することが初めて明らかになった。また、PAR-4活性化からNO産生に至るシグナル伝達経路には、Gi/oが依存しない経路の関与があることも示唆された。
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Biochemical and Biophysical Research Communications (In press)
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