研究課題/領域番号 |
17590746
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
牧野 直樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60157170)
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研究分担者 |
尾山 純一 九州大学, 大学病院, 助手 (30359939)
前田 豊樹 九州大学, 大学病院, 講師 (30264112)
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キーワード | 血管内皮増殖因子 / チロシンリン酸化 / SHP-1 / SiRNA / 心筋梗塞 / 血管新生療法 |
研究概要 |
心筋虚血において血管内皮増殖因子(VEGF)は増加するが、血管新生による側副血行路が充分できないのは、VEGF受容体のチロシンリン酸化よる活性化が不充分であると考えられ。本研究ではチロシンリン酸化を脱リン酸化するSrc homology domein 2 containning tyrosine phosphatase-1(SHP-1)を非活性化させることにより、相対的にVEGF受容体のチロシンリン酸化を招き、このことが心筋虚血域の減少する可能性について検討した。SHP-1の非活性化にはSiRNA vectorを用い心筋梗塞ラットの虚血域に注射した。その結果、SiRNA vector投与では梗塞1日目にはSHP-1蛋白は減少し、Aktリン酸化の亢進を認めた。心筋梗塞域はScramble SiRNAに比し、SiRNA vector投与で48%の梗塞域の減少を認めた。心エコーで観察した左室拡張期経は有意に低下し機能の改善を認めた。また、SiRNA vector投与では虚血域の心筋細胞のアポトーシスの抑制がみられた。以上の結果からVEGF受容体のチロシンリン酸化の活性化は虚血心の進展に重要な役割を演じていると推察される。現在、冠血管内皮細胞の増殖及び血管新生が促進される可能性があることから研究を展開中である。本研究は、受容体活性化の観点から、重症末梢虚血性血管病の血管新生療法を実用化するために行うもので、世界で初めての試みであり、VEGF及びHGFに代わる新たな血管新生療法として期待がもたれる。
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