研究課題/領域番号 |
17590747
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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研究分担者 |
井上 晃男 佐賀大学, 医学部, 助教授 (20168454)
平瀬 徹明 佐賀大学, 医学部, 助手 (60363446)
明石 真 佐賀大学, 医学部, 講師 (30398119)
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キーワード | 血管内皮機能 / 循環器・高血圧 / 脂質 |
研究概要 |
血管弛緩因子epoxyeicosatrienoic acids(EETs)の主要産生酵素であるCYP 2J2の血管内皮細胞(HUVEC)における遺伝子発現に対するEPA及びDHAの作用を検討した。EPAは用量依存性・時間依存性にHUVECにおけるCYP 2J2 mRNA発現を増加させた。DHAはCYP 2J2 mRNA発現に対して有意の作用を示さなかった。HUVECにおいてPPARγ阻害剤はEPAによるCYP 2J2 mRNA発現の増加を抑制したことから、EPAによるCYP 2J2 mRNA発現におけるPPARγの関与が示唆される。 CYP 2J2の発現は静脈内皮に比して動脈内皮において有意に高いことが示されており、動脈系内皮細胞におけるEPAのCYP 2J2発現促進作用とシグナル伝達機構の解析を行っている。EETsは不安定で速やかにsoluble epoxide hydraseにより代謝されることから測定が困難であったが、ELISA法により安定代謝産物であるdihydroxyeicosatrienoic acids(DHETs)を測定することによりEET産生の評価が最近可能となった。今後EPAが血管内皮細胞からのEET産生を促進する可能性につき検討する予定である。 血管内皮細胞により制御される血管透過性は動脈硬化初期から亢進することや血管透過性の維持が動脈硬化進行を抑制する可能性が示唆されている。また血管透過性の亢進は虚血再灌流による臓器障害に重要な役割を果たすことが知られている。 この測定系を用いてangiotensin II、lysophosphatidic acidが低分子量G蛋白質rhoを活性化することによりアクチン細胞骨格の再構築を生じ内皮透過性を亢進させることを見出した。これに対してEPAはアクチン細胞骨格の再構築を抑制したがDHAは同様の作用を示さなかった。
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