我々は、Hyperthermia(HT)によるHeat Shock Protein 70(HSP70)の発現にPI3kinase及びAktの活性化が必要な事を今回以下のように証明した。即ち、Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) ratsとLong-Evans Tokushima Otsuka (LETO) ratsを用いて、HSPの発現を評価すると、ラットをHT(43℃)下に20分暴露する事により、PI3kinase依存性にAktの活性化が認められた。同時にHSP70発現の増強が認められた。同様のHSP70の発現増強は生後3-5日目のラット培養心筋細胞でもHTに暴露することにより、認められた。さらにPI3kinase抑制薬のwortmanninにより、PI3kinaseが抑制され、Aktの発現が減弱するとHSP70の発現は抑制された。このようなHT下のHSP発現に必要なPI3kinase依存性のAkt活性化は、2型糖尿病モデルとして知られるOLETFラットでは低下していることも明らかとなった。そこでこのラットにPPAR_γ刺激薬のpioglitazoneを作用させると、作用前に認められたPI3kinase依存性のAkt活性化も正常に復することが認められた。以上よりHTによるHSP発現にはPI3kinase/Akt活性化が重要であることが明らかにされた。さらに2型糖尿病モデルでは、この系が減弱しており、インスリン抵抗性を改善すると言われている薬物で改善することも明らかとなった。この成果は現在投稿中である。 また雄のラットを除睾するとHSPの発現は殆ど影響を受けないことが明らかになり、その除睾されたラットに高濃度のテストステロンを投与するとHSPの発現は抑制された。現在その機序を検討中である。
|