研究概要 |
脳血管障害は要介護の基礎疾患の主要な原因となっており、その予防が急務であるが、それには血圧の正確な評価と管理が必要である。現在、上腕での携帯式血圧(Ambulatory blood pressure monitoring : ABPM)計はあるが、測定間隔も長く、完全自由行動下の血圧は測定できない。 そこで本研究では、耳介部(tragus)部の浅側頭動脈分岐動脈を挟む小カフ(inflatable pads)を用いて、内蔵されたphoto-sensorで血圧を測定できる超小型の頭位血圧(cephalic blood pressure monitoring : CBPM)計を開発した。本装置は耳孔部に固定できるので、四肢活動が自由にでき、測定間隔も5分以下にすることができた(栃久保修:超小型携帯式血圧計の開発,日本臨床増刊号,高血圧,61,2006)。また本装置ではカブが小さいので測定における圧迫感が小さく従来の上腕カブ法より不快感がより少ない利点が得られた。 そこで本研究では、耳介部(tragus)部の浅側頭動脈分岐動脈を挟む小カフ(inflatable pads)を用いて、内蔵されたphoto-sensorで血圧を測定できる超小型の頭位血圧(cephalic blood pressure monitoring : CBPM)計を開発した。本装置は耳孔部に固定できるので、四肢活動が自由にでき、測定間隔も5分以下にすることができた(栃久保修:超小型携帯式血圧計の開発,日本臨床増刊号,高血圧,61,2006)。また本装置ではカブが小さいので測定における圧迫感が小さく従来の上腕カブ法より不快感がより少ない利点が得られた。 その精度についてCBPM装置による血圧(Pc)と上腕動脈血圧をTerumo ES-H55装置で測定した血圧(Pt)と比較すると、Pt=α・Pc+β(α=動脈径による補正係数、β=静水圧25±2.7mmHg)の式において、αの値は収縮期血圧(SBP)で1.35±0.22(SD)、拡張期血圧(DBP)で1.23±0.23(n=108)と、まだ大きな値であった。年齢でのαを補正すると、CBPM装置による血圧と上腕血圧との相関は、SBPでr=0.89、DBPでr=0.81であった。現在、耳珠の基部で太い血管にカフが装着でき、αの値を1に近くする改良を加えている。さらに、photo-sensorの代わりに、超小型Laser Doppler blood flow meterを用いて、血圧(BP)と血流(BF)および末梢血管抵抗(R)の関係式BP=BF×Rにおいてカフ圧をservo contro1することによりRを一定化して毎拍の血圧を測定できる研究も加えての研究成果を報告した(Totikubo O, et al.:Development of a new micro-ABPM device. The21stscientitic meeting of the internation society of hypertension. Abstract, p121)。本方法は軽度の運動時でも連続的に血圧測定が可能であり、体位変動などにおける血圧変動の評価にも有用であった。現在、本装置の実用化(製品化)について某社と共同開発研究を行っている。
|