アディポネクチンが動脈硬化症で欠乏しており、薬剤によって改善可能であること。また、心筋梗塞の傷害心筋内でアディポネクチンが発現しており、線維化抑制との関連を示していた。心筋炎モデルで、心筋障害の抑制に関与し、心筋再生に重要であることがわかった。 1.剖検例による心筋内アディポネクチン解析 心筋梗塞症例で、発症7日以降の心筋梗塞部位と線維化細胞、血管内皮細胞にアディポネクチン蛋白と遺伝子発現を、免疫組織染色とIn situ hybridizationにて同定した。糖尿病による心不全では発現が極端に減少していた。高血圧性心臓病では線維化周囲の心筋に認められた。T-cadherinの発現は、心筋梗塞周囲の心筋と間質で発現充進を示した(Int. Heart. J.2006)。 2.動物実験でのアディポネクチン制御機構 ウイルス性心筋炎マウスモデルで、傷害心筋のアディポネクチン発現充進を認めた。アンギオテンシン受容体拮抗剤投与で、アディポネクチン発現充進とともに生存率の向上、心筋肥大の抑制、線維化の減少を示した。アディポネクチン発現が、心筋肥大の抑制や線維化の減少を促進すると想定した。肥満で糖尿病のObマウスで、アディポネクチン心筋内発現が低下し、心筋傷害や線維化の程度も増悪していた(Int. J. Cardiol. 2007)。
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