研究概要 |
本年度は、線維化肺におけるbasigin/EMMPRINの役割を中心に検討した。当該施設にて臨床的に間質性肺炎の診断がなされ、病理診断目的に胸腔鏡下肺生検を受けた患者30名を対象に。手術摘出された肺組織のホルマリン固定・パラフィン包埋薄切標本をmicrowave法で抗原賦活化後、抗ヒトEMMPRIN抗体(CHEMICON社,1000倍希釈)を1次抗体とし、Catalyzed Signal Amplification(CSA)法(DAKO社)を用いて免疫染色を施行した。basigin/EMMPRINによる誘導が報告されているMMP-1,-2,3-,-9についても連続切片で同様に免疫染色を施行した。また、以前、我々が作成したBAL液を用いた系を参考に、修正を加え測定方法を新たに確立し、同患者の血清やBAL液を用いて、basigin/EMMPRINの濃度をELISA法にて定量した。臨床的背景とその濃度との関係、病理組織上の免疫組織学的検討が可能である検体については、染色性との関係を明らかにした。以上の結果は、平成17年5月、米国胸部疾患学会にて報告し、Hum Patholに学術論文として掲載予定である。また、名古屋大学との共同研究において、basigin/EMMPRINのノックアウトマウスの供与を受け、bleomycin肺障害モデルを作成している。ノックアウトマウスにおける線維化の程度、各種マトリックスメタロプロテアーゼの発現の有無を詳細に現在分析中である。 一方、ラット肺気道上皮細胞を用いてbasigin/EMMPRIN遺伝子の誘導機序に関する検討を行っている。基底膜構成成分のひとつであるlaminin-1がその誘導能を有することを明らかにした。本結果は、平成18年5月に米国胸部疾患学会にて発表予定である。
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