研究概要 |
気道上皮細胞株BEAS-2Bを培養し、合成2本鎖RNAであるpolyinosinic-polycytidylic acid(poly IC)を添加すると、IFN-inducible protein-10(IP-10)の発現が誘導され、更に、BEAS-2Bにretinoic acid-inducible gene-1(RIG-I)を過剰発現させると、このpoly ICによるIP-10の発現が著明に増強されることを見い出した(Taima K., Imaizumi T., et al. : respiration, 2006)。また、気道上皮細胞や樹状紳胞において、influenza A virusの感染により誘導されるサイトカインの産生にRIG-Iが重要な働きをしていることが明らかになった(Siren J, Imaizumi T. et al.:Microbes Infect,2006)。 次に、グラム陽性桿菌であるLsiteria monocytogenesで培養マクロファージを処理すると、RIG-Iの発現が誘導されること、また、Lsiteria monocytogenes感染に伴ってマウスの肝臓や脾臓のマクロファージにRIG-Iが発現することを免疫染色により明らかにした(Imaizumi T.et al.:Microbiol Immunol,2006)。 更に,培養歯肉線維芽細胞を、大膓菌の内毒素lipopolysaccharideやpoly ICで処理すると、RIG-Iの発現が誘導され、そのRIG-Iはinterleukin(IL)-1β、IL6、IL-8などの炎症性サイトカインの産生に関与していることを見い出した(Kubota K, Sakaki T, Imaizumi T.et al.:Oral Miocobiol Immunol,2006)。 以上より、RIG-Iはウイルスや細菌の感染に対する防御反応に重要な役割をはたしていると考えられた。
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