研究概要 |
IL-26は、T細胞より産生されるサイトカインである。我々は、IL-26が非小細胞肺癌細胞より非小細胞肺癌の重要な腫瘍血管新生因子であるIL-8の産生を有意に増強することを見出した。我々はこの研究結果より、IL-26が類似の生物活性を有するIL-17と同様に、IL-26が非小細胞肺癌細胞の腫瘍血管新生能を増強するのではないかと仮定し、IL-26が非小細胞肺癌からのENA-78、GRO-alphaやVEGFなどの主要な腫瘍血管新生因子の産生を増強するか検討した。IL-26は、非小細胞肺癌細胞株のin vitroの増殖には影響しなかったが、ENA-78とGRO-alphaの産生を増強した。さらに、IL-26の遺伝子をT細胞より単離し、IL-26の発現ベクターを構築し、非小細胞肺癌細胞株に遺伝子導入した。IL-26を遺伝子導入した非小細胞肺癌細胞のin vitroの増殖は、コントロールのNeo遺伝子を導入した細胞と変化なかった。一方、IL-26を遺伝子導入した非小細胞肺癌細胞は、コントロールのNeo遺伝子を導入した細胞に比較して、より大量のIL8, GRO-alphaやENA-78を産生していた。IL-26を遺伝子導入した非小細胞肺癌細胞のin vivoの増殖はコントロールの細胞に比較して増強し、免疫組織染色による血管内皮細胞の染色による検討の結果、腫瘍組織の血管密度がコントロールの腫瘍組織に比較して増加した。Anti-CXCR2 Absの投与によりIL-26の誘導する非小細胞肺癌の増殖促進作用は消失した。
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