研究課題
基盤研究(C)
申請研究の最終年度である本年度は、前二年度で得られた成果に基づいて、気管支喘息モデルにおける、IL-10の肺リモデリングに及ぼす効果についての検討を行うための実験系の確立を試みた。現在、気管支喘息モデルを用いた解析は、主としてアレルギー性気道炎症についての検討に主眼が置かれており、、リモデリングについての検討は少ない。そこで、最終年度は、定量的評価に耐えうる実験プロトコールの確立を目指した。従来の方法どおり、マウスに卵白アルブミン(OVA)を全身感作させ、気道よりOVAを吸入させて気道炎症を惹起させた後に、3〜4日おきにOVAの吸入を繰り返し、経時的に肺検体を採取し、線維化の指標である肺内ハイドロキシプロリン(Hyx.P)含量を測定した。同時に肺病理標本を採取し、H&E染色やMass-on-Trichrome染色を施し、気道壁の線維化の程度を定量的ならびに定性的(半定量的)に解析した。その結果、マウスの気管支壁では、気管支平滑筋は螺旋状に存在しているので、気管支の横断面の切片でリモデリングを解析することは必ずしも正確では無く、測定結果に誤差が生じることが明らかになった。従って、肺のリモデリングの指標としては、定量性に優れるHyx.P含量を測定することが、最も信頼性め高い指標であると考えられた。OVA抗原吸入を4日ごとに5〜8回繰り返すと、Hyx,P含量はコントロール群と比べて有意に増加し、線維化の確実な指標となる事が明らかとなった。本プロトコールは今後、リモデリングを解析する上で有用であると考えられた。
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