研究課題/領域番号 |
17590783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
花岡 正幸 信州大学, 医学部, 講師 (20334899)
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研究分担者 |
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 助教授 (70242691)
太田 正穂 信州大学, 医学部, 講師 (50115333)
漆畑 一寿 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (60362125)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 遺伝子多型 / 呼吸機能 / 低酸素 / TGF-β1 / 肺気腫 / 肺循環 / 慢性閉塞性肺疾患 |
研究概要 |
1、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の運動負荷時と増悪時における肺循環動態の検討 COPDでは運動時と増悪時に低酸素血症を来し呼吸困難が悪化するが、その機序は十分に解明されていない。6名の重症COPD患者を対象に、安静時、運動負荷時および増悪時に右心カテーテル検査を施行した。安静時、肺動脈圧は輻度上昇していたが、自転車エルゴメーターによる運動負荷により著明な上昇を認めた。さらに、肺動脈楔入圧および心係数も有意に上昇した。一方、増悪時は肺血管抵抗が著明に増大したが、肺動脈圧は僅かな上昇に留まった。また、酸素投与は双方の病態において肺動脈圧を有意に低下させた。以上から、運動時と増悪時における肺循環動態の相違と酸素吸入の有用性が示唆された。 2、肺気腫の発症におけるtransforming growth factor beta 1(TGF-β1)遺伝子多型の関連 TGF-β1は、種々の細胞の増殖・分化、細胞外マトリックス産生、アポトーシス、さらに免疫機能に関与するサイトカインで、肺実質における肺気腫性変化と、気道におけるリモデリングの双方に関与している可能性がある。COPDのうち肺気腫に注目し、70名の肺気腫患者と99名の喫煙歴のある健常者との間で、TGF-β1遺伝子に存在する一塩基多型(SNPs)の頻度を比較検討した。8つのSNPs(rs2241712、rs1982072、rs1800469、rs1982073、rs2241716、rs4803455、rs6957、rs2241718)について、TaqManプローブとリアルタイムPCRシステムを用いてタイピングを行った。その結果、年齢、性別および喫煙歴の補正により、肺気腫とrs6957およびrs2241718との間に有意な相関を認めた。ハプロタイプの解析では、haplotype 3の頻度について肺気腫群と対照群との間で有意な差を認めた。さらに、肺気腫群の呼吸機能データにおいて、気管支拡張薬吸入後の予測1秒量とrs1800469およびrs1982073との間に有意な相関を認めた。以上から、日本人における肺気腫の発症にTGF-β1遺伝子が関与する可能性が示唆された。
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