研究概要 |
平成17年度は、肺線維症および肺高血圧症モデルを作製し、骨髄中の線維芽細胞に対する活性化プロテインCの効果を検討した。 (1)肺線維症モデルおよび肺高血圧症モデルの作製と解析:ブレオマイシンは浸透圧ポンプを用いて皮下に埋め込み、7日間持続皮下注にて肺線維症モデルを作製した。肺高血圧症モデルはモノクラタリン(600mg/kg)を4週間皮下投与することにより作製した。コントロールマウスに生理食塩を用いた。動物モデルを作製した後にマウスを屠殺し、肺胞洗浄液・血漿・肺組織を採取した。両動物モデルでは、コントロールマウスにくらべ、肺胞洗浄液中のTNF-α、IL-β、MCP-1、MIP-1α、PDGF、TGF-1βなどの炎症性メディエイターが有意に高値を示した。 (2)抹消血中線維細胞に対する活性化プロテインCの効果:肺線維症モデルと肺高血圧症モデルマウスの抹消血から線維細胞をFicoll-Hypaqueによる分離と磁気ビーズで分離し、活性化プロテインCとともに培養し、炎症性サイトカインと成長因子の産生に対する活性化プロテインCの効果を検討した。その結果、活性化プロテインCは線維細胞からのPDGF、MIP-1α,MCP-1の分泌を抑制することが明らかになった。また、線維芽細胞上の活性化プロテインCレセプター(EPCR)の発現に及ぼす活性化プロテインCの影響も検討した。その結果、活性化プロテインCがEPCRの発現を亢進することが明らかになった。 以上の結果より活性化プロテインCが骨髄由来の線維細胞の活性化に対して抑制効果を示すことが明らかになった。
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