研究課題/領域番号 |
17590788
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
GABAZZA Esteban 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00293770)
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研究分担者 |
田口 修 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90197244)
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キーワード | 肺線維症 / 肺高血圧症 / 線維芽細胞 / 活性化プロテインC / プロテインCインヒビター / ケモカイン / 骨髄細胞 / 細胞内伝達機構 |
研究概要 |
本研究では、活性化プロテインC(APC)の抗線維化作用に着目し、肺線維症と肺高血圧症の病態形成に関わる骨髄由来の線維芽細胞の種々の生物反応に対するAPCの薬理効果を検討するものである。平成18年度は、前年度の検討を続けるとともに、幹細胞のシグナル伝達と慢性炎症性肺疾患に対するAPCの効果を検討した。 1)肺線維症モデルと肺高血圧症モデルマウスにおけるAPCの効果:肺線維症モデルと肺高血圧症モデルマウスを作製し、APCの腹内投与でマウスを処理した。気管支肺胞洗浄液中と血中のstromal cell-derived factor-1(SDF-1)、granulocyte-macrophage colony-stimulating factor(GM-CSF)などのケモカインや線維芽細胞を定量した。その結果、APCを投与したマウスでは気管支肺胞洗浄液中のSDF-1とGM-CSFの濃度は非投与群に比べ有意に低下した。また、APC投与群のマウスでは血中の線維芽細胞の数が非投与群に比べ有意に低下した。また、肺高血圧症の病態形成にトロンビンの役割を明らかにするためにプロテインCインヒビタートランスジェニックマウスと野生型マウスの間に肺高血圧症の発症を比較検討した。その結果、プロテインCインヒビタートランスジェニックマウスでは野生型マウスに比べ肺高血圧症が有意に抑制された。 2)APCによる細胞内シグナル伝達機構の抑制効果:本研究で肺線維症モデルマウスと肺高血圧症モデルマウスの骨髄細胞を分離し、SDF-1またはSDF-1+APCで培養した細胞を用いてゲル内リン酸化法でphosphatidylinositol-3-kinase(PI3K)により活性化されるprotein kinase B(PKB)の活性化を各細胞群で比較検討した。また、各細胞群から核タンパクを抽出してJanus kinase(JAK)-signal transducers and activators of transcription 3(STAT3)の活性化を比較検討する。APCで処理した細胞では非処理細胞に比べPKBとSTAT3の活性化が有意抑制された。
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