研究課題/領域番号 |
17590790
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
熊谷 融 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80346212)
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研究分担者 |
吉田 光宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90359844)
木島 貴志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90372614)
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 増殖停止機構 / EGFR / erbB2細胞外ドメイン / p21 |
研究概要 |
Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)とerbB2の相互作用を抑制するerbB2細胞外ドメインを作用させることによって、悪性胸膜中皮腫細胞株OC-(MT)37に高細胞密度状態で増殖停止機構(Contact Inhibition)が誘導される結果、悪性化していた悪性胸膜中皮腫の形質がどのように変化するのか検討した、ヌードマウスの皮下に親株OC-(MT)37とerbB2細胞外ドメイン導入株OC-(MT)37/Nexを接種して、経時的に腫瘍径を測定しin vivoでの腫瘍増殖を検討した。0C-(MT)37/Nexはヌードマウス皮下で腫瘍形成を生じるものの、親株と比較して有意に腫瘍増殖が抑制されており、悪性度が軽減することが判明した。一方、EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤AGI478を作用させることにより、悪性胸膜中皮腫細胞株OC-(MT)37にContact Inhibitionを誘導できるか、フローサイトメトリーを用いて細胞周期を解析した。AG1478存在下においては、高細胞密度状態での増殖抑制は認められず、Contact Inhibitionは誘導できないことが判明した。以上の結果はEpidermal Growth Factor Receptor(EGFR)とerbB2を発現する悪性胸膜中皮腫に対しては、EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤を使用するより、両分子の相互作用を抑制するerbB2細胞外ドメインを作用させることが、正常細胞が本来有しているContact Inhibitionを誘導でき、また同細胞外ドメインの作用によって腫瘍増殖も抑制できるので治療戦略上有用であると考えられる。
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