研究課題/領域番号 |
17590792
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
矢野 聖二 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30294672)
|
研究分担者 |
六車 博昭 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (30346598)
|
キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 同所移植モデル / 胸水 / VEGF / 抗癌剤耐性 / EGF受容体 |
研究概要 |
悪性胸膜中皮腫は、早期診断が困難な上に化学療法や放射線治療に対する感受性が極めて低くその予後は著しく不良であり、有効な治療法の開発が急務である。そのためには悪性胸膜中皮腫の増殖・進展機構の解明が必須であるが、そのような研究は皆無に等しい。その要因のひとつには、悪性胸膜中皮腫の臨床的増殖・進展様式を反映した動物モデルの欠如があげられる。今回、ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株EHMES-10をSCIDマウスに胸腔内投与することで胸腔内腫瘤および大量の血性胸水を形成するという、臨床の悪性胸膜中皮腫の進展様式を反映した同所移植モデルを確立した。3x10^6個のEHMES-10細胞を接種した場合、マウスの生存期間中央値は35日であり、治療実験を行う際の観察期間は4週が最適と考えられた。さらに、本同所移植モデルにおいて悪性胸膜中皮腫に対し臨床的に使用される抗癌剤であるシスプラチンおよびゲムシタビンを用いて治療を行ったが、胸腔内腫瘍や胸水形成はほとんど抑制されず、本モデルが胸膜中皮腫患者の薬剤感受性をも反映していることを示した。一方で、EHMES-10はEpidermal growth factor (EGFR)受容体やVascular endothelial growth factor (VEGF)を過剰発現しており、これらが治療の分子標的になりうる可能性が示唆された。現在、抗VEGF抗体、VEGF受容体リン酸化阻害薬、EGF受容体リン酸化阻害薬などの治療効果を検討している。
|