研究概要 |
また、緑膿菌慢性気道感染症モデルを用いて、緑膿菌の主要な病原因子分泌機構であるタイプIII分泌システムの役割を解析した。緑膿菌タイプIII分泌システムに対する抗体を投与することで、肺内炎症細胞数が低下し、病態が改善することが示された。炎症性サイトカインも低下しており、タイプIII分泌システムが遺伝子治療の標的に成り得ることが明らかになった。(Imamura Y, Yanagihara K, et al. Eur.Respir.J. 2007 in press)緑膿菌タイプIII分泌システムを標的にしたsiRNAを作製中である。 同様に、緑膿菌慢性気道感染症モデルを用いた解析で、緑膿菌バイオフィルムを抑制する薬剤を投与することで著明な生菌数の低下が認められた。この成績から、緑膿菌バイオフィルムに関わる種々の遺伝子も遺伝子治療の標的として利用できることが判明した。(Yanagihara K, et al Chemotherapy 2007;53:10-13.) 重症肺炎球菌モデルを開発し、本モデルを用いて、肺炎球菌性肺炎の病態を解析した。重症肺炎では生体側の過剰な炎症反応が敗血症へ進展させ、マウスの致死率に大きく関与していた。この炎症反応の制御が重症肺炎の治療に貢献できることが示された。(Yanagihara K, et al Experimental Lung Research, Mar;33(2):71-80)
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