研究課題
昨年度までの検討で、COPD患者の末梢血好中球では、遊走・浸潤に関わる表面分子であるβ2インテグリンのCD-11bや、好中球の活性化にかかわるCXCケモカイン受容体(CXCR1)の発現が増強しており、その発現の程度が、気道の閉塞性障害の程度と相関することを示し、これらの分子の発現増強が、好中球機能の亢進をもたらし、疾患の発症や進展に関与している可能性が考えられることを明らかにした。また、COPD患者の末梢血好中球において、Src kinase系の酵素のひとつであるHematopoietic cell kinase(Hck)の蛋白発現が増強しており、その発現の程度も気道の閉塞性障害の程度と有意に相関することを示し、COPDの発症や進展に関与している可能性を明らかにした。本年度の検討で、COPD患者の末梢血好中球におけるCD-11bやCXCR1の発現とHckの蛋白発現の程度に有意な相関を認められた。次に、末梢血好中球におけるHckの活性化の程度について測定したところ、健常者とCOPD患者では、Hckの蛋白発現量と異なり、末梢血レベルにおけるHckの活性化の程度に有意差は認められなかった。以上の検討から、COPD患者では、末梢血レベルで好中球機能に関わる表面分子の発現が増強しており、これらの表面分子を介した種々のリガンド刺激に対する反応性が亢進している可能性が考えられ、これらの刺激を介した局所への好中球の遊走・浸潤の亢進や、局所で強い活性化を受けることが、COPDの発症・進展に関与している可能性が考えられた。従って、このような種々の分子の発現を末梢血好中球レベルで測定することが、COPDの発症や進展を推測しうるバイオマーカーとなりうる可能性があり、またこれらの分子の発現や活性を制御することが疾患の進展を抑制しうる新たな治療ターゲットとなりうる可能性が示唆された。
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