研究課題/領域番号 |
17590803
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
副島 研造 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30236145)
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研究分担者 |
猶木 克彦 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (40265806)
仲地 一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60348646)
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70169770)
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キーワード | 肺癌 / メチル化 / DNAメチル転移酵素 / ヒストンメチル転移酵素 / microRNA |
研究概要 |
1.発癌課程におけるDNMTとHMTの関与を検討するため、不死化から癌化に至る各段階の肺細胞株(NHBE)を作成した。DNMTに関しては、癌化によりDNMT3bの各spliced form (DNMT3b1-3b5)の発現パターンが明らかに変化し、不死化までしか認めなかった細胞ではDNMT3b1/3b2が優位に対し、癌化細胞ではDNMT3b3が優位であった。またDNMT3bのKOにより、腫瘍増殖能が減弱し、その機序として一部の癌抑制遺伝子の再発現が関与していた。一方HMTに関しては、不死化・癌化細胞においては種々のHMTのうち、H3K9あるいはH3K27に対するHMTであるSuvh39、G9a、Ezh2の発現亢進が認められた。H3K9のHMTに対するsiRNAは細胞増殖速度・腫瘍形成能を有意に減少させ、H3K27のHMTへのsiRNAは腫瘍形成能を著明に抑制したが、H3K4のHMTに対するsiRNAはいずれにも影響しなかった。 2.DNAメチル化とmicroRNAとの関連については、当初計画していた癌抑制遺伝子のプロモーター領域に対するprobeをとするRNase protection assay法を用いた方法では、最終的にシークエンスを行うだけの十分な検体が得られないことから、microRNAに対するマイクロアレイを用いて、癌化NHBEに特異的に発現している網羅的な解析を行った。さらに現在、メチル化DNA特異的な抗体を用いてメチル化DNA免疫沈降後に、プロモーターアレイを行い、DRIMアルゴリズムに基づいたバイオインフォマティック解析により、メチル化を来しやすい共通塩基配列を見いだすべく実験を行っている。仮にそれぞれの実験系で類似、あるいは同一の塩基配列が得られた場合、その塩基配列を持つmicroRNAはDNAのメチル化に関与している可能性が強く示唆され、細胞内へmicroRNAの導入により、標的遺伝子のメチル化が誘導されるか否かを検証していく計画である。
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