研究概要 |
RB遺伝子のヘテロマウスとp53遺伝子のノックアウトマウスを掛け合わせたマウスでは気管支において神経内分泌系細胞の過形成が認められること、またRB遺伝子とp53遺伝子の2つの遺伝子を肺上皮細胞でコンディショナルに欠損させたマウスにおいてヒト小細胞肺癌に類似した腫瘍が形成され、さらに脳や肝臓などに転移巣を形成することが証明されたことより、RB遺伝子とp53遺伝子の小細胞肺癌の発癌過程における重要性が再確認された。我々はin vitroではあるがRBとp53の2つの遺伝子導入により生じた相乗的増殖抑制効果/アポトーシス誘導効果増強を見出した。当院で樹立された小細胞肺癌ACC-LC-48(Mt-p53,RB null),-49(Mt-p53,RB null),-172(Mt-p53,wt-RB)の3株に対してAd-p53とAd-RBの共感染による相乗的効果の分子基盤を明らかにするために、上記3つの小細胞肺癌細胞株とNCI-H82とNCI-H146とNCI-H1299の6株にAd-RBとAd-p53の単感染あるいは共感染させ経時的(0,12,24,48,72時間後)に細胞を回収。神経内分泌系分化誘導転写因子Shh,hAsh1,hScratch,Gli1,GfI-1,Ash1のアンタゴニストであるId1(Inhibitor of DNA-binding-1)とId2(Inhibitor of DNA-binding)の発現をRT-PCRで検討している。また、神経内分泌系分化抑制転写因子のREST(NRSF)はそのスプライスバリアントが小細胞肺癌では高発現していて正常型RESTを抑制して分化誘導しているという報告があり、REST(NRSF)についても発現等検討している。
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