研究課題/領域番号 |
17590813
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 聡 北海道大学, 病院, 助手 (70312345)
|
研究分担者 |
小野寺 伸 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (00359481)
帯金 克行 北海道大学, 病院・医員 (30374408)
|
キーワード | 腹膜線維症 / 被嚢性腹膜硬化症 / マクロファージ遊走阻止因子 / TNF-α |
研究概要 |
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、向炎症、血管新生、細胞増殖および抗アポトーシス作作用を様々な病態で発揮する多機能サイトカインである。本研究では、腹膜透析(PD)医療における重大な合併症である腹膜硬化症(PF)におけるMIFの関与を検討している。また今回は、薬剤(クロールヘキシジン)投与によるマウスモデルを中心に検討した。MIF欠損マウスにおいては、腹膜硬化症の進行が有意に抑制され、MIF中和抗体の腹腔内投与によってもその進行が抑制される。MIFは腹膜硬化症の治療における重要なターゲットとなり得る事が示された。 線維症をおこした腹膜組織中において、MIFは、中皮細胞、中皮細胞下層の繊維芽細胞、マクロファージを中心とする浸潤細胞を中心に発現していた。腹膜中皮細胞は、腹膜線維症の発症、進展においてキー因子の一つとして注目されているが、MIFは、TNF-αと共発現し、その強度は線維症の進行に伴って増強した。またMIF発現の増強は、中皮下組織内のFSP1発現や、電子顕微鏡的な中皮細胞形態異常、中皮細胞下層における細胞分布、細胞外器質集積とも相関していた。以上の事から、MIFがその強力な向炎症効果を介して、他のサイトカイン発現や炎症細胞浸潤を促す事により腹膜線維症の発症進展を悪化させていることが示唆された。また、上皮-間葉転換との相関も示唆され、現在引き続き、モデル動物と培養細胞にて検討を継続している。
|