研究概要 |
【目的】レニン アンギオテンシン系の抑制は糖尿病腎症の進展のみではなく、その発症を抑える可能性も指摘されている。しかしそのメカニズムは未だ明らかではない。 【方法】1. 糖尿病発症前の11-13週齢のOLETFラットとLETOラットに、マイクロパンクチャー法により、尿細管糸球体フィードバック機構(TGF)につき検討した。 2.同じく11-13週齢のOLETFラットとLETOラットにアンギオテンシンレセプター拮抗薬であるOlmesartan (OLM)を投与し、血圧、腎血流量(RBF)、腎表面血流(SBF)、皮質深部血流量(DBF)を測定した。 【結果】1.11-13週齢のLETOにおいては、40nl/minによる最大還流量により約30%のTGF反応の抑制が認められたが、同週齢のOLETFにおいてはTGFの反応が約15%と異常所見を認めた。 2.11-13週齢の発症前のOLETFでは血糖値は両群で差は認めなかったが、体重は有意にOLETF群で大きかった。OLMは両群で有意に同程度血圧を低下させた。 OLMはLETO群において有意にSBFを上昇させたが(from 594±62 to 672±71 PU ; p<0.05), OLETF群では有意な変化を認めなかった。DBFでは逆にOLETF群において有意な上昇を認めたが(from 264±37 to 309±51 PU ; P<0.05)、LETO群では有意な変化は認めなかった。 【結論】糖尿病発症前に、すでに血行動態異常が存在しOLMはそれを改善する。その異常に関しては深部血行動態も重要と考えられる。
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