研究課題
片側尿管結紮(UUO)を施したC57BL6/Jマウスの腎間質におけるTGF-β・Smad信号の病的な促進に、信号伝達抑制因子であるSnoNがいかなるpost-receptor制御を受けているかを、それらのユビキチン化、プロテアソーム分解の変動について検討し、以下の知見を得た。1.UUO腎では進行性の腎間質の線維化の進行と、Real time PCRにてTGF-β、IV型コラーゲン、SnoN mRNAの発現増加が認められた。2.Western blotにてSnoN蛋白レベルはUUO腎では減少していた。3.UUO腎からの蛋白抽出液での内因性SnoN蛋白の分解速度をdegradation assayで検討し、UUO腎におけるSnoN蛋白の分解亢進を認めた。4.UUO腎におけるSnoN蛋白に対するユビキチン活性を調べるため、UUO腎からの蛋白抽出液にリコンビナントSnoN蛋白を加え、ATP、ユビキチン、プロテアソーム阻害剤の存在下で30分間反応させた後、western blotでポリユビキチン化されたSnoNを調べたところ、UUO腎からの蛋白抽出液でのSnoN蛋白に対するユビキチン活性の亢進が認められた。5.UUO腎の蛋白抽出液からSmurf2を免疫沈降にて事前に除くとSnoNのユビキチン化は抑制された。6.Real time PCRにてSnoNのユビキチンリガーゼであるSmurf2 mRNAのUUO腎での亢進が認められた。7.Western blotにてUUO腎におけるSmurf2蛋白の増加が認められた。以上より、TGF-βの発現が亢進し、TGF-βの細胞内信号伝達が盛んなUUO腎では、SnoNのユビキチン化を介する分解系が亢進していることが明らかとなった。今後は同様にもうひとつのcoreppressorであるSkiについても検討してゆく。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
FEES Lett. 579・2
ページ: 2557-2563