研究課題/領域番号 |
17590825
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
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研究分担者 |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
仁木 一朗 大分大学, 医学部, 教授 (10262908)
門松 健治 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80204519)
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キーワード | diabetic nephropathy / Midkine / MAPK / PKC / chemokine / calmodulin / exudative lesion / hilar hyalinosis |
研究概要 |
この間の研究期間において、以下の2つの糖尿病性腎症モデルについて、その概要を明らかにし、現在、詳細なメカニズムの解明・さらにinterventionに関する研究に移行している。最初のモデルについては、既に論文が掲載され、2番目のモデルについては投稿準備中である。 1)我々はSTZ誘発性糖尿病モデルを作製し、糸球体および尿細管間質障害に関わるMKの役割について検討した。野生型(Mdk+/+)およびMK欠損型(Mdk-/-)129SV系マウスにSTZ140mg/kg体重を腹腔内に二日間投与し、1,2,4,6ヵ月後に検討した。投与後300~500mg/dlの血糖を維持するとMdk-/-に比してMdk+/+で有意に1ヵ月後に微量アルブミン尿の増加、2ヵ月後に尿蛋白増加、腎機能低下を認め、徐々に糸球体硬化と尿細管腔の拡張等の間質病変を呈した。また、Mdk+/+で有意にMCP-1の誘導、マクロファージの浸潤を認めた。更に、Mdk+/+由来培養メサンギウム細胞および尿細管細胞の高血糖処理にてMK発現は経時的に誘導され、Mdk-/-由来細胞に比べそれぞれERKのリン酸化とMCP-1の誘導が有意に亢進していた。この結果より糖尿病性腎症へのMK関与の可能性を糸球体、尿細管間質両者で示し、MKが今後新たなる治療戦略の一つとなると考えられた。 2)膵β細胞特異的カルモジュリン過剰発現マウス(CaMTg)は、生後数週より膵β細胞の破壊と低インスリン血症を伴う著しい高血糖を示す。この糖尿病モデルにおける腎糸球体病変の特徴を解析した。方法はCaMTg群及び同胞の正常対照群について血液・尿の生化学的検査を行うとともに、腎の組織学的所見を光顕・電顕・免疫組織学的に検討した。結果:CaMTg群では3ヶ月齢より、尿中アルブミンの有意の増加を認めた。また、3ヶ月齢よりメサンギウム領域の有意な拡大を示し、Type IIIおよびType IV collagen沈着は有意に増加した。メサンギウム細胞でのα smooth muscle actin発現は亢進し、6ヶ月齢より血管極の動脈硬化、9ヶ月齢では結節性病変・滲出性病変も認めた。結論:CaMTgはヒト糖尿病性腎症類似の病変を呈し、この合併症の解析に有用なモデルと考えられた。
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