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2006 年度 実績報告書

尿毒症性脳障害における酸化ストレスの関与とエリスロポエチンの脳保護に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17590831
研究機関九州大学

研究代表者

鶴屋 和彦  九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20372740)

キーワード尿毒症性脳症 / エリスロポエチン / 慢性腎不全 / 酸化ストレス障害 / アストロサイト / グリア線維性酸性タンパク質 / NAPDHオキシダーゼ / p-cresol
研究概要

【背景・目的】遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)は,虚血性脳障害において脳保護作用を発揮する.慢性腎不全患者の高次脳機能障害における有効性も報告されているが,その機序は不明である.われわれはこれまでの研究で,脳海馬の神経細胞においてNADPHオキシダーゼ(NOX)を介した酸化ストレス障害が尿毒症性脳障害に関与し,rHuEPOはNOX抑制による抗酸化作用を介して脳保護に作用することを明らかにした。一方最近,虚血性脳障害において神経細胞脱落後に増加したアストロサイト(アストロサイトーシス)が,エリスロポエチン(EPO)産生を介して脳保護に働いている可能性が示唆されている.今回,尿毒症性脳障害におけるアストロサイトの役割に着目し,以下の実験を行った.
【方法】5/6腎摘ラット(Nx群)と偽手術ラット(Sham群)を作製し,8週後に摘出した脳におけるアストロサイトーシスについて,グリア線維性酸性タンパク質(GEAP:活性化アストロサイトのマーカー)の免疫組織化学染色法で検討した.次に,神経細胞とアストロサイトの共培養実験を行い,尿毒症物質p-cresolによる神経細胞死に及ぼすアストロサイトの役割について検討した.
【結果】Nx群では脳海馬の神経細胞においてGEAP染色性の亢進が認められたが,Sham群では認められなかった.P-cresolによる神経細胞死については,神経細胞同士で共培養した細胞よりアストロサイトと共培養した細胞のほうが細胞死の頻度は低値であった.
【考察・結論】今回の研究より,尿毒症性脳障害におけるアストロサイトの脳保護作用が示唆された.アストロサイトがEPOを産生していること,EPOが脳保護作用を有することなどを考え合わせると,尿毒症性脳障害では,酸化ストレス障害に反応してアストロサイトが増加し,EPO産生を介して脳保護に作用している可能性が考えられる.

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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