研究概要 |
すでに"腎機能低下につれて日中に排泄しきれないNaを代償的に排泄するために夜間血圧が低下しなくなる(non-dipper)"と報告しました(Kidney International誌)。慢性腎疾患の患者様に御同意を得て昼夜別蓄尿・24時間血圧測定を行い、腎機能低下につれ圧利尿で夜間尿が増加することを明らかとしました。第28回日本高血圧学会で高得点演題(PO-01)に採択頂き、第38回アメリカ腎臓学会でも発表しました。論文はNephrol Dial Trasplant誌(21:2172-7,2006)にアクセプトされました。 健常人では夜間入眠すると日中に比して血圧が10%低下します。腎機能が低下すると夜間に十分Naを排泄しきるまで血圧が低下しないと考え「日中の10%まで夜間に血圧が下がるまでの時間」をDipping Timeと定義し、こ腎機能との関係を解析すると、はたして腎機能が低下するにつれて、このDipping Timeが延長することが見いだせました。この研究結果は2006年度の国際高血圧学会でオーラルセッション演題に採択されました。この概念について欧米誌に投稿し、Med Hypotheses.67:802-6,2006にアクセプトされました。現在、解析結果を他の欧米誌に投稿したところです。 我々の尿中Naに対する概念はHypertens Res 29:645-53,2006にもアクセプトされました。 日中に排泄しきれないNaを夜間に排泄する現象は、腎予備能のみならず心血管イベントをも予兆します。この現象は食塩感受性とも密接にリンクします。臥位の状態から急激に立位をとった場合にこの腎予備能低下が浮き彫りにされ1ると考え、現在ではこれまでのパラメータが臥位ないし立位で如何に変化するかを検討しています。この結果がまとまれば、立位負荷で腎予備能を推量る事ができると考えています。
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