研究課題
基盤研究(C)
近年、1)慢性腎臓病(CKD)は早期であっても心血管病の危険因子であり、2)腎機能が正常な時期から腎機能低下につれて心血管病の危険度が増加する事(=心-腎連関)が判明し、CKDを早期診断・治療して心血管病を予防する事が世界規模の健康問題となった。私達名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学の研究グループは、24時間に亘る適切な血圧管理のために24時間血圧測定を日常診療に取り入れた結果、腎機能が低下するにっれて夜間血圧が低下しなくなるnon-dipper型の血圧日内リズムを呈し、かつ日中に比し夜間の尿中ナトリウム排泄量が多くなることを発見した(Kidney Intemational. 2004 Feb ; 65 (2) : 621-625)。この現象を「腎機能が低下すると日中に十分なナトリウムを排泄しきれなくなり、本来夜間に低下(dipper)する血圧を高いまま維持することで圧-利尿を発揮し夜間にナトリウムを排泄する」と解釈し、この考えを「non-dipperの腎性機序」として提唱してきた。さらに日中の活動時にナトリウム排泄が低下してしまう病態では臥位から立位に体位変化をするとナトリウム排泄が低下してしまうとの仮説を立て、本研究を立案・実施した。平成17~18年度は「non-dipperの腎性機序」を支持する研究成果を積み重ね、平成19年度は立位負荷時の尿中ナトリウム排泄低下が、血圧や尿中ナトリウム排泄のnon-dipper型日内リズムを検知し得ることを明らかとした。non-dipperや食塩感受性の基本には共通した腎におけるナトリウム排泄障害が存在し、それを立位負荷時のナトリウム排泄低下で診断し得る可能性が示された。non-dipperも食塩感受性も心血管イベントリスクである事は確立しており、立位負荷による腎予備能低下の診断はCKD早期における心血管イベントリスクのスクリーニングに有用である可能性が示唆され興味深く、今後さらなる検討を要する。本研究を支えて頂きました日本学術振興会様、国民の皆様に深謝致します。
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