研究課題/領域番号 |
17590850
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伊藤 哲 日本大学, 医学部, 講師 (20349989)
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研究分担者 |
小松 一俊 日本大学, 医学部, 講師 (50297800)
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キーワード | 高血圧 / メタボリックシンドローム / 吻側延髄腹外側野 / 興奮性アミノ酸 / kynurenine aminotransferase-1 / アンジオテンシン受容体 / 交感神経活動 / 食塩感受性高血圧 |
研究概要 |
昨年の高血圧自然発症ラット(SHR)におけるインスリン抵抗性と高血圧の発症にKAT-1ミスセンス変異が関与しているという結果を踏まえて当初の実験計画を変更しKAT-1遺伝子アンチセンスを用いた実験を先行させた。方法-雄性Wistar-Kyotoラット(WKY)にテレメトリーシステムを挿入し、両側吻側延髄腹外側野(RVLM)にKAT-1遺伝子アンチセンスを含む組み換えアデノウイルス(KAT-1 antisense)とLacZ遺伝子を含むAdLacZを微量注入した。別群には、8%高塩食負荷を施行した。結果;1):KAT-1antisense群ではRVLMに局在してKAT-1活性の低下を認めた。しかしながらKAT-1antisense群の交感神経活動さらに血圧及び心拍数は、AdLacZ群と比較して有意な変化を認めなかった。2)高塩食群においては、KAT-1antisense群にて、有意な血圧と心拍数増加を認めた。考察;RVLMにおけるKAT-1活性の低下と、食塩負荷の組み合わせは、RVLMにおける興奮性アミノ酸入力の不均衡をもたらし、交感神経活動を亢進させ食塩感受性高血圧を引き起こす事が示唆された。 さらに最近メタボリックシンドロームにおいて、末梢のレニンーアンジオテンシン系(RAS)に加えて脳内RASの関与と食塩感受性の存在が指摘されている。そこで我々は、WKYのRVLMへAngiotensin type1受容体(AT1aR)を導入する事により、血行動態、交感神経活動に与える影響を検討した。方法;1)雄性WKYにテレメトリーシステムを挿入し、両側RVLMにAngiotensin type 1受容体(AT1aR)遺伝子を含む組み換えアデノウイルス(AdAT1R)とLacZ遺伝子を含むAdLacZを微量注入した。またAdAT1R群の一部のラットには8%高塩食を投与した。結果;1)RVLMに局在してAT1aR蛋白の発現増加とAT2R蛋白とnNOS蛋白の発現減少を認めた。2)血圧及び心拍数は、両群に有意な差は認めなかったが、LF/HFによる交感神経活動と血圧動揺性は、AdAT1R群にて増加した。3)高塩負荷AdAT1R群では、AdLacZ群と比較して血圧の上昇を認めた。考察;RVLMにおけるAT1Rの発現増加が、交感神経活動-n進と食塩感受性高血圧を発症した。この事は、メタボリックシンドロームにおける、脳内RASの活性化おそらくはRVLMのATIRの発現亢進が、交感神経活動の亢進さらに食塩感受性の獲得に重要な役割を担っている事が予想される。
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