| 研究概要 |
アルドステロンは従来よりナトリウム・水貯留ホルモンとして知られていたが、近年、直接的な心血管作用を介して高血圧や心疾患・腎疾患の病態に関与することが明らかにされている。我々も以前にアルドステロンがnon-genomicな機序を介して腎輸出入細動脈を収縮させることで腎血管抵抗や糸球体内圧を上昇させうる可能性を報告している(J Am Soc Nephrol 14:2255, 2003, Hypertension 43:352, 2004)。近年、種々の臓器においてアルドステロンが酸化ストレスを増大させるという報告が多数あり、アルドステロンによる臓器障害との関連が注目されている。そこで本年度我々は、アルドステロンの輸出入細動脈収縮作用における酸化ストレスの関与を検討した。しかしながら、現在のところ有意な結果が得られていないのが現状である。また、アルドステロンのgenomicな血管作用を検討する目的でスピロノラクトンの影響を検討したが、こちらの研究においても有意な結果は得られなかった。現在、より選択的なアルドステロン受容体拮抗薬であるエプレレノンを入手して詳細を検討している。スピロノラクトンとエプレレノンの作用の相違から、アルドステロンの血管作用に関する新知見が得られる可能性もあると考えて研究を進めている。さらに、以前に我々が得た研究成果を病態モデルで検証すべく、高血圧ラット等を用いた実験を行う準備をしているところである。
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