研究課題/領域番号 |
17590853
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研究機関 | (財)生産開発科学研究所 |
研究代表者 |
安部 秀斉 (財)生産開発科学研究所, 腎病態解析研究室, 研究員 (60399342)
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研究分担者 |
荒井 秀典 京都大学, 大学院医学研究科, 講師 (60232021)
水野 昭 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80219641)
塚口 裕康 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60335792)
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キーワード | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / コラーゲン / smad1 / BMP / ALK1 / SMA / AGE |
研究概要 |
1.AGEs刺激による糖尿病条件下でSmad1がリン酸化、活性化され核内へ移行する機構として、メサンギウム細胞においては、TGFβ-ALK1およびBMP2/4-ALK3/6による2つの経路が並存していることを明らかにした。これら両経路の賦活化が腎病変形成に寄与している分子IV型コラーゲン、I型コラーゲン、オステオポンチン、SMAなどの発現を制御していることを明らかにした。 2.前年度に樹立したSmad1過剰発現マウスにストレプトゾトシンを投与し、糖尿病を誘導した。発症した糖尿病性腎症はこれまでのモデルにみられないほどの重症な硬化病変を呈していた。また、尿中Smad1関連分子排泄量と病変の重症度は正の相関を示した。さらに、硬化部位に産生の増加するコラーゲンの特異的分子シャペロンであるheat shock protein(HSP)47の発現誘導にSmad1が寄与していることをin vitroおよびin vivoで確認した。 3.糖尿病性腎症の進行抑制にアンギオテンシン受容体拮抗薬が有効であることが臨床上はよく知られていた。そこで、腎メサンギウム細胞およびストレプトゾトシン誘導糖尿病性腎症モデルを用いて、糸球体硬化症責任分子であるSmad1の活性化にアンジオテンシンII(AII)がかかわっており、それはERK非依存性の新たなシグナル経路AII-Src-Smad1によることが明らかとなった。また、この経路をアンギオテンシン受容体拮抗薬により遮断することで、コラーゲン、SMAなどの硬化関連遺伝子の発現は抑制され、硬化の進展が抑制されることをin vivo, in vitroにおいて分子レベルで解明した。
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