研究概要 |
本年度はアクアポリン(AQP)10,11,12についてヒトゲノム解析をおこなった。健常人50人の末梢血白血球DNAからエクソンをPCRで増幅して核酸配列を決定した。またデーターベース(NCBI)から遺伝子座と遺伝子構造を検索した。AQP10はマウスでは偽遺伝子になっているがヒトでは偽遺伝子はなかった。染色体1q21.3に存在し、下流2475bpにカチオン輸送体ATPase(ATP8B2)遺伝子がある。6つのエクソンより成り、SNPは7つでうちアミノ酸置換は4つ(R-Q,R-C,V-1,H-Y)。AQP11は11q13.5に存在し6495bp離れた下流に逆向きの細胞内クロライドチャネル(CLNS1A)遺伝子がある。3つのエクソンでSNPは2つ、うちアミノ酸置換は1つ(G-S)。AQP12は2q37.2でインスリン非依存型糖尿病遺伝子1(NIDDM1)の中にある。マウスでは3つのエクソンよりなるがヒトでは6つのエクソンからなる。しかも8790bp離れて逆向きに類似遺伝子(AQP12B)もある。ESTバンクの解析からC末の異なったスプライスバリアントが存在した。ヒトAQP12のC末はAQP12A,Bともマウス、ラットのAQP12とまったく似ていない。さらにN末半分以上を欠くスプライスバリアントも複数存在した。SNPは5つ、うちアミノ酸置換は3つ(A-T,Q-E,M-T)。AQP10・12のノックアウトマウスは外見上正常なので健常人にも遺伝子異常がみつかる可能性がある。 以上の結果は18年6月の日本腎臓学会で発表の予定。
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