研究課題
ポリグルタミン病の一つであるマシャド・ジョセブ病における神経細胞死選択性と細胞死に至る分子病態の両者にアプローチすることを目的としてyeast two hybrid法を用いたataxin-3結合タンパクの探索を行った。具体的にはataxin-3のN末側286残基をbaitとしてヒト脳のcDNAライブラリーをスクリーニングした。その中で、特に結合の強かったクローンを選別し、そのシークエンスを決定したところ、グリシンの代謝に関係する酵素をコードしていることが明らかになった。このクローン(以下YF156と略称)は、yeast two hybrid法で観察するかぎりataxin-3のN末のみならず全長とも結合し、またataxin-3のポリグルタミン鎖が10個の時のみならず77個の時も同様な結合を示した。また一連の欠失実験から、YF156はそのN末側にミトコンドリア移行シグナルを有し、その部分がataxin-3の最もN末側と結合しているものと考えられた。さらにYF156のN末側にFLAG tagをつけたタンパクとataxin-3(Q10/77)を同時にHEK293細胞に発現させてFLAG抗体にて免疫沈降した場合、実際にataxin-3が免疫沈降してくることから、哺乳動物の細胞内でもYF156とataxin-3(Q10/77)全長が結合することが示された。この結合がどのような意義を有するのかを検討するために、培養細胞内でのYF156とataxin-3(Q10/77)の共発現の実験を行った。その結果、ataxin-3(Q77)のみがYF156の細胞内分布を変化させる可能性が明らかとなり、これが分子病態に関わっているのではないかと現在予測している。(これらの成果はいずれも投稿準備中。)
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