研究課題/領域番号 |
17590865
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
花島 律子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教員 (80396738)
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研究分担者 |
宇川 義一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50168671)
寺尾 安生 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20343139)
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キーワード | 高頻度深部脳刺激 / 不随意運動 / パーキンソン病 / ジストニア / 感覚誘発電位 / 運動野抑制機能 |
研究概要 |
本研究では本年度は、高頻度深部脳刺激(DBS)の治療の適応となったパーキンソン病やジストニアなどの不随意運動を呈する運動障害疾患を対象に、基底核の機能的なマッピングの作成を引き続き行った。中でも、視床周囲の感覚路と電極位置についての検討に重点を置き、これにより得られた電極位置の情報により臨床的な治療効果の予想が可能になることを目指した。治療のため基底核部に挿入したDBS電極から上肢感覚刺激により得られる感覚誘発電位を記録し、その大きさや位相により電極の視床周囲部での位置を把握することが可能であることを前年度にわれわれは示したが、本年度は視床下核周囲での電極位置の違いによる感覚誘発電位の変化をより詳しく調べた。さらに、脊髄損傷や多発性硬化症などの疾患の場合感覚路に病変が及んでいることが多いが、このような症例にDBSを挿入した場合に視床部の感覚誘発電位がどのように変化するか報告した。このことにより、疾患での応用への幅が広がり、誘発電位の発生源についての理解も深まった。また、DBS治療を受けているパーキンソン病で脳血流の変化している部位をPETにて解析しその結果を論文に投稿中である。一方、DBSの対象となることが多い不随意運動のひとつであるジストニアの病態機序解明を目指し、運動野の興奮性の変化を経頭蓋的磁気刺激法を用いて検討した。全身性ジストニアを示す疾患である瀬川病では、書痙などの局所性ジストニアやDYT1などとはことなり、運動野の興奮性の増強は磁気二発刺激法で認められないことが判明しこれを報告した。このことにより、同様の症状を示していてもジストニアの機序は単一ではなく、このような発生機序の違いによりDBSの治療効果も異なる可能性が示唆された。また、不随意運動の機序の解明には正常者での運動調節機構を踏まえることが不可欠であるが、われわれは経頭蓋的磁気刺激後の近赤外線計測による皮質血流の変化や、連発磁気刺激法などにて正常者での運動機構の研究も進めた。
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