研究課題
本研究の目的は、第16番染色体長腕に連鎖する優性遺伝性小脳変性症の関連遺伝子について解析することである。本疾患は、我々がこれまで、原因遺伝子座の同定(Ishikawa Kら2000)、物理地図の作製、候補領域の限定化(Takashima Mら,2001;Li Mら2003)を行ってきた。さらに、puratrophin-1遺伝子内に、連鎖不平衡が高い変化を見出した。puratrophin-1に対する抗体を作製し患者脳で免疫組織化学的に解析すると、同蛋白は患者小脳Purkinje細胞で細胞骨格蛋白とともに凝集していた(Owada Kら2005)。これは患者に特有の唯一の変化であり、本疾患の発症の直接的原因であるか、もしくは極めて密接に関連した遺伝子変化である(Toru S, Ishikawa Kら2005)。以上の様な背景から、本変化が病因かどうかを検証した。puratrophin-1遺伝子の産物の特性を調べるために、この蛋白質に相互作用あるいは複合体を形成する蛋白質のcDNAをライブラリーからtwo-hybridsystem法を用いてクローニングした。puratrophin-1と酵母転写遺伝子含むbaitプラスミドを構築し、スクリーニングの対象となるヒト胎児脳cDNAライブラリーを酵母転写因子の転写活性化領域につないだものとともにホスト酵母に導入し、発現させた。培地上に生育してくる陽性コロニーをスクリーニングし、陽性クローンをもつ酵母細胞からプラスミドDNAの回収を行った。これを、ダイレクトシークエンス法で塩基配列解析を行い、蛋白を同定しているが、細胞骨格蛋白と関連するものは判明していない。現在、ポリクローナル抗体の作製、in situ hybridizationを含めて検討中である。一方で、本疾患の原因遺伝子が他にもある可能性もあり、候補領域を詳細に検討し、その結果については投稿中である。
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