研究課題/領域番号 |
17590870
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹羽 淳一 名古屋大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (50378022)
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研究分担者 |
祖父江 元 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20148315)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 変異SOD1 / 運動ニューロン / 神経変性 / Dorfin / ジスルフィド結合 |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、大脳の上位運動ニューロンおよび脳幹・脊髄の下位運動ニューロン選択的な変性による球麻痺・呼吸筋麻痺・四肢麻痺を特徴とする、成年期以降に発症して急速に進行する神経難病の一つである。現在のところ有効な治療法はなく、早急な原因究明と治療法の開発が急務である。ALSの病理学的特徴は、ユビキチン化したタンパク質凝集体が運動ニューロン細胞質内に特異的に蓄積していることである。SOD1変異に伴う家族性ALSやALSマウスモデルにおいては、病変選択的に変異SOD1凝集体がユビキチン化され蓄積しており、変異SOD1が病変特異的に凝集体形成能を獲得する機序がALSの病態に密接に関わっていると推定される。ヒトSOD1分子は4つのシステイン残基を有し、57番目および146番目のシステイン残基間で分子内ジスルフィド結合を形成することにより分子を安定化させている。本年度の研究により、変異SOD1分子のシステイン残基が分子内でなく分子間で誤ったジスルフィド結合を形成することが、変異SOD1の凝集体形成および細胞毒性に強く関与していることが明らかとなった。変異SOD1トランスジェニックマウスを用いた検討により、異常なジスルフィド結合形成は病変選択的に生じており、SOD1のジスルフィド結合形成に病変特異的に関与する因子の存在が示唆された。さらに、我々がこれまでに同定した変異SOD1をユビキチン化しプロテアソームでの分解を促進するユビキチンリガーゼDorfinが、異常なジスルフィド結合を特異的に認識して変異SOD1をユビキチン化することを見出した。今回の研究成果である我々の培養細胞モデルを用いた異常ジスルフィド結合形成の抑制を指標にした薬剤スクリーニングが、SOD1変異に伴う家族性ALSの治療薬の創薬に結びつく可能性がある。
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