研究概要 |
CMTは遺伝性ニューロパチーの中で最も有病率の高い疾患であり,その中でMPZ変異はPMP22 duplicationに次いで多く,100種類以上の変異が報告されている.細胞外ドメインにおける変異にみられる重症の脱髄型と細胞貫通ドメイン、細胞内ドメインなどそれ以外の部位にみられる軸索型が存在する.脱髄障害型のマウスモデルは既に作製されているが,軸索障害型の報告はない.軸索障害型マウスモデルは遺伝性ニューロパチーのみならず、後天性のCIDP(慢性炎症性脱髄性ニューロパチー)など、広くニューロパチーの機能予後を決定する軸索障害因子の解析にきわめて有用である。軸索障害型および脱髄型MPZ-CMTモデルマウスの作成にあたっては、シュワン細胞における変異型MPZの遺伝子発現の時期とその量がきわめて重要であることから、β-actinプロモーターおよびCNTFミニプロモーターを導入ベクターに使用した。ヒトの末梢神経由来のfull sizeのwild MPZ cDNAクローンに変異導入を行ない,脱髄型変異および軸索型変異のそれぞれのトランスジェニック用ベクターを作成した.これにより様々な外来遺伝子量を持つマウスラインの確立を検討している.一方、ヒトのニューロパチーにおいて、軸索障害を規定し、治療不応性に関連する遺伝子多型が明らかになった。この軸索障害関連分子はランビエ絞輪部に局在し、軸索障害変異型MPZとともに、接着機能と関連が深く、今後の解析に興味がもたれる。
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