研究課題/領域番号 |
17590877
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
長井 篤 島根大学, 医学部, 助教授 (40273940)
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研究分担者 |
小林 祥泰 島根大学, 医学部, 病院長 (00118811)
寺嶋 正治 島根大学, 医学部, 助教授 (40227517)
益田 順一 島根大学, 医学部, 教授 (70173747)
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キーワード | 脳梗塞モデルラット / 神経幹細胞 / 骨髄間葉系幹細胞 / ミクログリア / 栄養因子 / サイトカイン / 移植 / アポトーシス |
研究概要 |
ヒト由来神経幹細胞株(F3)、骨髄由来間葉系幹細胞株(HBM10)、ミクログリア細胞株(HMO6)の3種類の神経系細胞への分化能を有する細胞を用い、脳梗塞モデルラットに移植実験を行った。F3細胞を梗塞作製2日後に静脈内移植し、経時的に血管内皮マーカーでの免疫染色を行った。コントロールに比べてF3移植は有意に血管新生を促進し、梗塞巣を縮小した。B10細胞は梗塞作製1日後に静注移植された。またB10細胞は脳出血モデルマウスに出血8日後に脳内移植された。どちらの場合もコントロールに比べ症状の改善を認めた。B10細胞の遺伝子発現をRT-PCR法で解析した結果、BDNFの発現が亢進しており、また脳組織中のBDNFの発現も増加が見られた。これらの結果より、症状改善の機序として、B10細胞から分泌されるBDNFの神経保護効果が候補として考えられている。次にHMO6細胞を脳梗塞モデルラットの梗塞作製2日後に静注移植した。免疫担当細胞であるミクログリア移植もコントロールに比べ症状の改善をもたらした。F3細胞、B10細胞が脳梗塞辺縁部に多く遊走する傾向が見られたのに対し、HMO6細胞は梗塞中心部にも分布が見られた。TUNEL染色を脳組織で行ったところ、HMO6細胞はアポトーシスを有意に減少させた。HMO6細胞培養におけるサイトカイン・栄養因子の発現をreal-time PCRで検討した。結果として、basic FGF、TGF-βの発現が他の因子に比べ高値であり、症状および組織学的改善の機序との関連が示唆された。各種細胞の移植において脳梗塞を改善させる程度や機序も異なる可能性が考えられるため、今後in vivoにおける組織学的改善の機序を分子生物学的に詳細に検討する予定である。今年度得られた成果については、第5回日本再生医療学会、第31回脳卒中学会で発表した。
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