研究概要 |
方法 酸加水分解法を用いて,PPSの低分子化を検討した. ペントサンポリ硫酸カルシウム(PPS-Ca)0.5gを0.2N HCl 50mLに溶解し,還流しながら100℃で30分間,酸加水分解を行った.反応後は氷冷しながら1N NaOHで中和し,エバポレータで溶媒を留去後,蒸留水10mLに再溶解して,Bio-Gel P-4カラムにapplyした.カラムは0.1M NaCl(flow rate=0.5mL/min)で溶出し,溶出液は4mLずつ試験管110本に分取した.溶出液の各フラクションをTLCで確認し,A〜Dの4画分に分画した.各分画を濃縮し,エタノール沈殿を2回行い,生じた沈殿物を減圧下で乾燥した.A〜Dの画分のうちDは極微量だったため,A〜Cの3画分について,HPLCによる分子量推定及び硫酸基の測定を行った. HPLCによる分子量推定 分子サイズにより試料成分を分離するゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて,PPS-Ca及びPPS-Ca酸加水分解物画分を測定し,分子量解析ソフトウェア(Waters Millennium32-J)を用いて分子量を推定した.分子量の異なる9種類のプルラン(Shodex STANDARD Pullulan)を用いて校正曲線を作製した. 硫酸基の測定 硫酸基の測定には操作が簡便で,再現性に優れていることから,BaCl2-ゼラチン試薬を用いるDodgson-Priceの比濁法を使用した.測定波長を500nmとし,K2SO4により検量線を作成した. 結果・考察 3種のPPS-Ca酸加水分解物画分はGPCカラムを用いたHPLCで,それぞれ単一のピークを示した.今回のHPLC条件で,プルランを標準物質として得られた重量平均分子量はA画分がPPS-Caの約30%,B画分,C画分PPS-Caの15%以下に減少しており,酸加水分解物は低分子化されていることが明らかになった (Table 1).また,硫酸基量の測定結果より,酸加水分解物は硫酸基を保持していることが明らかになった以上の結果,PPS-Caの酸加水分解により,PPS-Caを硫酸基を保持したまま低分子化することが可能であることが示された.
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