研究課題/領域番号 |
17590887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高嶋 博 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (80372803)
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研究分担者 |
有村 公良 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (20159510)
松山 航 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (90372804)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 脊髄小脳変性症 / 遺伝性ニューロパチー / DNA修復障害 / SCAN1 / TDP1 |
研究概要 |
我々は、軸索型ニューロパチーと小脳失調を示す疾患(SCAN1)の原因として、Tyrosyl-DNA phosphodiesterase 1:TDP1)を同定した。本疾患では、脊髄前角細胞、プルキンエ細胞などの大型の神経細胞の変性が推定されている。DNAの転写や複製時にDNAに結合したトポイソメラーゼを、DNAから取り除く酵素がTDP1である。TDP1は、Single strand break repair(SSBR)の塩基除去修復(BER)の一員として働き、さらにトポイソメラーゼ以外のSSBRにおいても働く。我々は、はじめに発現解析から別のDNAの修復機構である XPF/ERCC1よるnucleotide excision repair(NER)システムがTDP1を補完しうることを示した。次に我々は、開発したTdp1のノックアウトマウスを解析し、酵素学的にもTdp1の活性がほぼゼロであることを確認した。Tdp1ノックアウトマウスの解析では、体重、脳の重量、組織学的に神経細胞に明らかな異常は認めていない。12-16週のTdp1ノックアウトマウスは、臨床的、電気生理学的には、Wild typeと有意差を認めなかった。病理学的にも、明らかな異常は認めないが、さらに詳細に検討している。一方、抗癌剤でTopoisomerase Iの阻害薬であるイリノテカンをTdp1-/-マウスに投与したところ、Wild typeは、運動障害をおこさなかったが、Tdp1-/-は、著明な運動障害を呈し致死的であった。イリノテカンは、神経系の副作用が少ない抗癌剤として知られており、ノックアウトマウスに対しては、明らかな神経症状の出現と致死性があることから、このTDP1-Topoisomerase I経路の障害と神経変性の関連が示唆された。
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