研究課題
Alzheimer病に対するAベータワクチン療法はどうぶつモデルを用いて有効であることが示されたが、臨床治験は急性脳脊髄炎などの副作用のため中止された。本研究では、有効で副作用のないワクチンを開発する目的で、DNAワクチンを作製し、動物モデルでの有効性と副作用の有無を検索した。最近MonsonegoらはTgマウスをAβ40及び42で感作し免疫応答性を調べた(Monsonego et.al., Proc.Natl.Sci.USA., 2001)。その結果T細胞、B細胞ともnon Tgマウスにくらべ有意に低いことを報告し、Tgマウスは幼若時から血中Aβが高いため抗原特異的トレランスを獲得しているものと推定した。我々は免疫機能の低下していないnon Tgマウスにワクチン投与後、細胞増殖試験を行い抗原特異的T細胞の増殖反応がほとんど認められないことを確認しているが、長期ワクチン投与における免疫応答についての検討は不十分であった。今後ヒトに対し臨床応用を考えていく上で長期にワクチン投与を行った場合の免疫応答について免疫機能の低下していないnon Tgマウスに検討した。まずワクチン投与後血中Aβの産生、それに引き続いた抗体産生をELISA法を用いて測定した。さらにワクチン投与による脳内炎症所見の有無を免疫組織化学法(CD5、Mac-3)にて検討した。その結果、DNAワクチンには脳炎を引き起こすT細胞を刺激することはなく、長期治療マウスの脳内に炎症形成は認められなかった。次年度は、より長期のワクチン有効性と安全性を確かめる予定である。
すべて 2005
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J.Neuroimmunol. 170
ページ: 49-61
Dementia Japan 13
ページ: 36