研究課題
樹状細胞(DC)はT細胞に対する抗原提示を主たる機能とする唯一の免疫担当細胞である。1型糖尿病では、DCのフェノタイプ・機能の異常が種を超えて認められる。最近我々は、NODの骨髄由来(BM)DC遺伝子発現プロファイルを近縁のNONと比較し、NODのDCにおいてCD204(Macrophage scavenger receptor type A)遺伝子発現が増強していることを見いだした。実際flow cytometryでNODマウスBMDCは、NON、Balb/c、C3H/HeNと比較して、約5倍のCD204発現強度を呈し、CD204^+DCのフェノタイプはCD4^<low> CD8 CD11b^<low> CD11c^<low> CD19^<low> CD80^<high> CD86^<high> MHCclassI^+classII^+であった。monkey DCではCD204分子を介して自己生細胞から細胞膜を囓りとり(nibbling)自己成分を抗原提示する機構が知られているが、マウスにおいてもCD204分子はnibbling関与しており、CD204発現の強いNOD DCにおいて盛んにnibblingを明らかにした。本年度はCD204欠損NODマウスを作製し、プェのタイプを観察した。東京大学先端科学技術研究センター児玉龍彦教授から供与された雄性cD204欠損マウスと雌NOD/shiとのF1からNODマウスに戻し交配をいわゆるspeed congenicの手法で繰り返し、CD204欠損マウスNODマウスを作製した。CD204(+/-)NODマウスの兄妹交配から得たCD204(+/+>、(+/-)、(-/-)NODマウスにcyclophosphamideを投与し、1型糖尿病を誘発して尿糖を8週間モニターし発症率を検討した。N8にて膵島炎、超尿病発症に重要な1型糖尿病遺伝子ldd1、Idd3,、Idd4、Idd5、Idd10がNOD型に組み換えられた事を近傍のマイクロサテライトマーカーのgenotypingによって確認した。CD204(+/+)、(+/-)、(-/-)NODマウスのcyclophosphamide誘発性糖尿病の発症率は、それぞれ5/11、1/8、1/11であった。CD204欠損はNODマウスにおけるcyclophsphamide誘発性1型糖尿病を有意に抑制した。NODマウスにおいてはCD204^+DCがnibbllng現象を介して「自己成分が抗原提示されやすい形質」の担い手となり、ひいては自己免疫疾患感受性につながる可能性が示唆された。
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