べータセルリン(BTC)受容体のクローニングを目指した。 1.BTC(1-80)とBTC(24-76)を作製・精製しそれぞれのカラムを作成した。BTC受容体を発現していると思われるIEC-6細胞の膜分画を抽出しカラムにapplyした。BTC(1-80)またはBTC(24-76)に対する結合蛋白をカラムより回収しSDS-PAGEに展開し複数のbandを回収した。質量分析法を用いてシークエンスを明らかにし、databaseより分子を同定する作業を進めた結果、キナーゼドメインを有し受容体構造を持つクローンとしてEGF受容体(EGFR)を得た。現時点では、BTCはEGF受容体を利用していると推測された。では、BTCとEGFの生理作用の違いは何に由来するのであろうか? 我々の検討では、BTCとEGFとではEGFRの活性化の程度が同一ではなく、細胞内の分子の燐酸化の程度もことなる部分が存在することが明らかとなった。そこで、BTCに特徴的な生理作用は細胞内シグナルの違いに由来する可能性が考えられた。 2.βHC9細胞をBTCまたはEGFで刺激しphosphotyrosine抗体でチロシン残基が燐酸化を受けている分子を回収した。そして、BTC刺激で燐酸化を受けるがEGF刺激では燐酸化を受けない分子に注目しクローニングを試みた。質量分析法を組み合わせて解析を行った。その結果、phospholipase D active site motifを有し、DEDDDDDYVTLSDODなるEGFR kinaseで燐酸化される部位が存在する新規分子をクローニングした。PLD2→PA(phosphatidic acid)→Sos PH domain→Sosをmembraneへrecruite→Rasを活性化なるシグナルで細胞増殖に関わっている分子と推測をされた。
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