研究課題
基盤研究(C)
平成17年度、18年度科学研究費の補助を受け、セリンキナーゼ活性化機構とインスリン抵抗性発症に関する研究を行ってきた。まず新たなセリンキナーゼの機能解析として、TNFαによるIRS-1のセリンリン酸化にp70 S6 kinaseが関与していることを明らかにした。またMdm2がPI3 kinaseの活性化依存的にIRS-1をユビキチン化するユビキチンリガーゼであることを見出し、H17年の日本糖尿病学会総会で報告した。次に、IRS-1のセリンリン酸化を促進するインスリン抵抗性惹起刺激の同定として、まずIL-1α刺激を用いた検討を行った。IL-1αによって活性化される複数のセリンキナーゼのうちJNKやmTORが特にIRS-1のセリンリン酸化に重要である点を見出し、Molecular Endocrinology誌に報告した。また、アニソマイシンとインスリンによるIRS-1のセリンリン酸化の機序の違いを検討し、前者にはJNKが後者にはmTORが重要であることをBBRC誌に報告した。次に、インスリン抵抗性を示す動物モデルにおけるIRS-1セリンリン酸化とIRS-1のdegradationに重要な働きをするSOCSの発現について高脂肪食負荷マウスとdb/dbマウスを用いて評価した。いずれの動物モデルにおいてもSOCSの発現が亢進しており、ピオグリタゾンの投与により、IRS-1レベルでのインスリンシグナルが改善することを見出し、Diabetes誌に報告した。最後に、IRS-1のセリンリン酸化とSOCS発現の関連について、片方のみではIRS-1レベルでのインスリンシグナルの抑制は見られず、両者が同時に認められるときに初めてインスリンシグナルが抑制されることを、3T3-L1脂肪細胞の系で証明し、Endocrinology誌に報告した。
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すべて 雑誌論文 (7件)
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