研究課題
基盤研究(C)
カロリー制限と寿命の研究から特定された抗老化遺伝子であるサーチュイン(sirtuin、ヒトではSIRTI)は、カロリー制限の結果生じる細胞内NAD/NADH比の増加によって活性化される。本研究では、抗老化戦略の中心的な役割を果たしているサーチュインを中心に、腎構成メサンギウム細胞の機能異常に対するサーチュインの意義に関する分子生物学的に検討を行い、ついで、カロリー制限マウスの血清を用いたプロテインチップ解析によるサーチュインの発現に関わる新規分子の同定を目的とした。(1)レトロウイルスを用いて樹立したsirtuinの強発現およびノックダウン細胞を樹立し、酸化ストレスおよびSmad7に対する腎メサンギウム細胞のアポトーシスを検討した。その結果、H202あるいはSmad7の過剰発現によって、DAPI染色、caspase-3活性化、PARP活性化、p53アセチル化によって評価したアポトーシスが生じた。また、それら異常はsiRNASIRT1細胞にて増強されたが、SIRTI過剰発現によって消失した。(2)2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、CR(-30%摂取)と通常食により8週間飼育後、摘出した腎臓抽出液を用いてSIRT1発現とともに、プロテインチップによる蛋白発現解析を行った。その結果、カロリー制限マウスにおけるSIRTI発現の増強とともに、有意な発現の差カミみられた113ピークから、ノイズピーク、個体差の補正によって、発現の低下する2ピーク、増加する22ピークを見出し、現在、同定を行っている。以上の結果から、腎メサンギウム細胞においてSIRT1はP53およびSmad7の脱アセチル化を介して抗アポトーシス作用を発揮することが明らかとなった。また、カロリー制限によって、腎臓において有意に増加する蛋白群を見出した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
J Biol Chem 282
ページ: 151-158
Free Radical Biology and Medicine 40
ページ: 2175-2182