本計画の目的は、申請者らが同定した2型糖尿病感受性を高めるレジスチンSNP-420にGを有するプロモーター環境において、特異的に転写を活性化する因子を同定し、感受性SNP特異的に作用する新たなインスリン抵抗性改善薬の標的を見出すことである。 実験は、1)2型糖尿病感受性レジスチンプロモーター活性化DNAエレメント及び結合転写因子の同定、2)2型糖尿病感受性DNA配列認識因子"Sp1/3"結合蛋白の同定、3)同定した転写・共役因子の機能解析の3つに沿って進める予定である。本年度は主に1)について、トランスフェクションによるレジスチンプロモーター活性及びに内因性レジスチンmRNAについて検討した。特にヒトの主要発現部位である単球を実験系として用いた。 SNP-420にGを有するレジスチン遺伝子プロモーターの転写活性化に重要なDNAエレメントを同定をする目的で、?種類の5' flanking領域を有するレジスチンプロモーターをSNP-420にCを有するものとGを有するものの2種類ずつをPCRで増幅し、ルシフェラーゼレポーターに導入した。シークエンスにより塩基配列を確認し、種類のレポーターを作成した。単球培養細胞であるTHP-1にトランスフェクションする条件を検討し、レジスチンの5' flanking領域がプロモーター活性を有することを確認した。-420に近い-450までを含むコンストラクトを用いて、インスリンやLPSのプロモーター活性への効果を検討した。並行して、これらの刺激が内因性のレジスチンmRNAに及ぼす効果を検討した。一方、健常人の単球においては、レジスチン血中濃度とレジスチンのmRNAが正に相関することを見出した。さらに、SNP-420が、G/G>C/G>C/Cの順にレジスチンのmRNAが高くなっていることを証明した。
|