野生型マウスおよびTRHノックアウトマウス(TRHKO)の小脳よりmRNAを抽出し、subtractive hybridizationならびにcDNA microarray法を用いて、TRHKOで発現が低下している遺伝子群を同定した。ESTあるいはゲノムプロジェクトの情報から、cDNAの全長を検索し絶食にした野生型マウスにおいてその発現量に変化があるcDNAを抽出し、数百のTRH依存性クローンの中からmDP1が得られた。mDP1 mRNAは、野生型マウスの特に大脳皮質、小脳、視床下部で強く発現していた。本年度は、以下のような研究を実施した。 1.mDP1ノックアウトマウスの作製と解析 昨年度までに完成していたmDP1ノックアウトマウスのヘテロ接合体同士を交配させmDP1ノックアウトマウス作製した。野生型、ヘテロ接合体、ホモ接合体で相同遺伝子組み換えが予想通り起こっているかをサザーン解析にて検討し、ホモ接合体では正常のアリルが完全に欠損していることが確認されている。本年度は、これらのマウスがメンデルの法則に従い生まれることをまず確認し、mDP1ノックアウトマウスは、胎生致死ではないことが判明した。次にmDP1が実際に欠損しているかをノーザン解析にて検討した。野生型マウスでは、3.7kbと0.8kbのmDP1mRNAのバンドが認められ、ヘテロ接合体では、約50%に低下し、ホモ接合体では両バンドとも完全に欠損しており、mDP1ノックアウトマウスでmDP1が欠損していることが確認された。生後の体重を含めた成長について現在検討している。
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