1)G蛋白質病の解析に基づくG蛋白質の脱感作メカニズムの解明: G蛋白質病の解析は、GPCR・G蛋白質の作用機構の解明に貢献してきた。今回、新たなG蛋白質病の原因となるG蛋白質変異体(AVDT変異体)を解析し、G蛋白質レベルの脱感作機構に示唆を得た。 (1)GPCRシグナルの差異と脱感作:G蛋白質の細胞内局在を細胞間で比較検討し細胞特異的な脱感作の分子メカニズムにG蛋白質の可逆的な脂質修飾が関与する可能性を示した。 (2)G蛋白質レベルの脱感作:関与するpalmitoyl-esteraseの過剰発現によってシグナルの抑制と相関するGs局在変化が生じることを明らかにした。 2)新しいレセプター・G蛋白質シグナル調節機構と病態への関与: (1)脱感作制御分子の遺伝子導入:レセプター・G蛋白質シグナルの脱感作に対して、GRK、arrestin、Gtの遺伝子導入とシグナル分子の局在変化の相関を検討した。 (2)シグナルスイッチング:Ca感知受容体(CaSR)のシグナル変化を原因とする新規の疾患であるacquired hypocalciuric hypercalcemiaで新たなCaSR自己抗体を発見した。この自己抗体は、CaSRに対するallosteric modulatorとして作用し、本来GqおよびGiと共役するCaSRをGqのみを活性化するユニークな活性型に維持し、シグナル特異性のスイッチングという制御を行っていることを明らかにした。今後、類似疾患の解明とあわせて、GPCRのシグナル特異的な制御機構の解明への示唆が得られると考えられる。 (3)AT1を端緒としてGPCRに対するインバースアゴニスト作用の薬剤における意義を検討し、薬剤スクリーニングをおこなった。
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