研究概要 |
構築したCTBPノックアウトマウスのヘテロ型からホモ型を交配により生育させた。ホモ、ヘテロ、ワイルドタイプいずれも出生、生育に問題は無かった。外見、成長曲線をそれぞれのマウスで観察した。外見上明らかな変化は無く、また成長曲線にも変化はみられなかった。パルスオキシメーターで、脈拍から心機能を評価すると脈拍には有意な変化を認めなかった。解剖、組織に異常を認めなかった。血中の甲状腺ホルモンは、T3,T4共にホモで有意な低下を認めた。下垂体からmRNAを抽出し、リアルタイムPCRでTSHの発現を比べると有意差は認めなかった。各マウスから脳、肝、腎、心を摘出し、チャコール処理を施行し、T3結合活性を測定した。ワイルドタイプではいままでの報告と同様NADPH依存性の高い結合活性を認めたが、ホモでは消失していた。聴性脳幹反応はホモ、ヘテロともにワイルドタイプと比較して、変化を認めなかった。マウスCTBPのプロモーターをゲノムからPCRにより単離し、ルシフェラーゼレポーターに組み込み、転写活性を定量した。GH3細胞で甲状腺ホルモンによる転写活性の上昇は認めなかった。2000塩基上流に別のタンパクの転写開始基点が存在した。逆方向のプロモーター活性も存在し、現在、CTBPの存在する細胞、存在しない細胞を使用し転写活性を比較検討している。ノックアウトマウスについて、甲状腺ホルモン応答遺伝子のDIO1,GSTA2について心、肝、腎での発現を測定した。その結果、血液中の甲状腺ホルモンは低いにも関わらず応答遺伝子の発現には差がなかった。放射能でラベルしたT3を尾静脈から注射するとノックアウトマウスでの脳、肝、腎、心でのクリアランスは野生型に比し良好であった。CRYMは細胞質においてそのホルモンの貯蔵に貢献していることがin vivoでも証明された
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