研究課題
研究代表者らはこれまでに、CNP-GC-Bシステムの強力な内軟骨性骨化促進作用と、軟骨無形成症モデルマウスにおけるCNPによる劇的な治療効果を証明した(Nat.Med 2004)。更にCNPは、FGFシステムのMAPKシグナル伝達系を介した基質産生抑制を回復することにより、骨伸長障害を改善することを証明してきた。昨年度の当該研究において、CNP-GC-BシステムとFGFシステムの細胞内シグナル伝達系の相互作用を検討し、CNP-GC-Bシステムの内軟骨性骨化促進作用の分子メカニズムの更なる解析をおこなった。今年度はCNPの局所調節機構としてのクリアランス系に関して検討し、成長板局所におけるクリアランス受容体(C受容体)のCNP局所濃度調節作用が内軟骨性骨化による骨伸長に及ぼす効果を、器官培養を用いて検討した。方法としては、野生型およびCNP欠損マウス胎仔脛骨器官培養系を用いて、C受容体のアゴニストであるC-ANFを添加し、解析をおこなった。まずRT-PCRにて培養脛骨成長板軟骨においてC受容体の遺伝子発現が確認された。C-ANFは濃度依存的に野生型成長板軟骨におけるCNP/GC-BシステムのセカンドメッセンジャーcGMPを増加させ、野生型マウス培養脛骨の全長、および組織学的解析による成長板軟骨層の伸長を促進した。一方C-ANFはCNP欠損マウス培養脛骨の伸長は促進しなかった。以上より、成長板軟骨において局所CNP濃度を調節するクリアランス系が存在して内軟骨性骨化による骨の伸長を調節していることが示され、骨伸長促進系としてのCNP-GC-Bシステムの調節機構の一端が明らかとなった。
すべて 2006
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Osteoporos Int. 17
ページ: 105-108
J Clin Endocrinol Metab. 92・3
ページ: 1066-1072